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「FDAが開示したPfizer資料に1,291種もの副反応が隠されていた」は誤り

[2023/7/15更新]
「FDAが開示したPfizer資料に1,291種もの副反応が隠されていた」は誤り。それは事前の観測対象リスト(AESI)であって副反応リストではない。これは寧ろ厳密に検証された証左。

【解説】
 米国の非営利団体PHMPTがFDAに勝訴し、Pfizer社が提出した全資料32.9万ページの開示を約束させた。順次開示され現時点で10万ページ相当が開示されているが、これがネットで一般公開されたところ、その資料には9ページに及ぶ1,291種類の副反応リストが記されていたというもの。FDAが開示を渋ったのは、この副反応情報を知っていたことを隠蔽したかったからだと勘ぐったデマが拡散された。
 然しこれは副反応リストではない。元となったPfizer社の開示資料を確認すると、タイトルに”Review of Adverse Events of Special Interest (AESIs)”とあるように、これは副反応の可能性がある事象を予め定義した事前の安全監視リスト(AESI)である。このAESIの1,291件は、医学文献、臨床試験、政府の保健所等から報告された有害事象42,086例から抽出されたもの。予めAESIという安全監視リストを作成したというだけで、AESIにリストされたからといって必ずしも副反応が発生するとは限らない。AESIで1,291もの種類をリストしたということは、寧ろ厳密な安全性監視を計画したとも言える。本文書の安全監視の結論は「安全性について新しい懸念はない」となっている。

◾️REUTERS ファクトチェック
https://www.reuters.com/article/factcheck-coronavirus-pfizer-idUSL2N2VK1G1

◾️Pfizer社の開示資料
本資料の結論は「安全性について新たな懸念はない」となっている。
“The data do not reveal any novel safety concerns or risks requiring label changes and support a favorable benefit risk profile of to the BNT162b2 vaccine.”
リストについては「必ずしも特定の有害事象が薬剤に起因することを示すものではなく、むしろその事象が基礎疾患や過去の病歴、併用薬などの他の要因に起因している可能性もある」と書かれている。
An accumulation of adverse event reports (AERs) does not necessarily indicate that a particular AE was caused by the drug; rather, the event may be due to an underlying disease or some other factor(s) such as past medical history or concomitant medication.
資料には”AESIs”と書かれている。明らかに「有害事象」であって「副反応」ではない。
“AESI”=Adverse Event of Special Interest
「特に注目すべき有害事象」

https://phmpt.org/wp-content/uploads/2021/11/5.3.6-postmarketing-experience.pdf

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◾️ネットで拡散された記事
https://www.epochtimes.jp/2022/03/88059.html

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◾️サンテレビ
サンテレビは「1,291件の有害事象」と報道したが誤りを認め訂正している。
https://youtu.be/juj72fa0_pc

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米国の非営利団体PHMPTとFDAの開示請求訴訟については以下を参照ください。

◾️「FDAがワクチンデータを2076年まで非開示。隠蔽か?」はミスリード
https://note.com/osamu_iga/n/ne185934bf978
◾️【資料】FDAのFOIA訴訟
https://note.com/osamu_iga/n/nfd4d3f7715ff

【追記】
ワクチンの有効性・安全性については自己でご判断ください。当方は、皆さんが正しい情報を基に判断できるよう、デマの指摘に努めます。